街角スナップについて理解を深める本
Aug 2013, Asagaya / Tokyo, NEX-7, Elmarit 28mm f2.8 2nd
こうもクソ暑い日が続くと寝苦しいですね。皆様は眠れない日は如何お過ごしですか?私は読書をする事が多いです。
本に関しては雑食で基本的に何でも読みます。その中には勿論写真に関する本も含まれます。
さて、話は変わって私のスナップフォトに対する考え方は以前本館のエントリで表明したとおりですが、あの様な考え方に至るまでに参考になった本をご紹介したいと思います。
- 作者: 日本写真家協会
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/08/10
- メディア: 新書
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街角でスナップショットを撮る事になったら、そしてその行為に迷いが生じたとしたら、最初にオススメしたい本です。
撮って良いか?撮ってはいけないか?をケース毎に例示し、丁寧に解説しています。いわば教科書の様な位置づけです。
ただし、入門書という位置づけの為なのか、あるいは編集上の都合なのか、スナップショットを撮る事の意義や、何故撮って良いのか?いけないのか?の根底についてはあまり触れていません。
より深く掘り下げたいという方は...
- 作者: 丹野章
- 出版社/メーカー: 本の泉社
- 発売日: 2010/07
- メディア: 単行本
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こちらをオススメします。
「撮る自由と同時に撮られない自由もある」、「見えている物は原則撮っても良い」、「撮る事と公開することは別である」
当たり前の様な事を気づかされ目から鱗が落ちました。肖像権という言葉の解釈の曖昧さや、個人情報に敏感な社会がなぜ形成されたか、など詳しく解説されています。
- 作者: 横木安良夫
- 出版社/メーカー: エイ出版社
- 発売日: 2008/05/10
- メディア: 文庫
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お次はこちら。
かなり過激な内容です。スナップショットを撮って公開するという行為の弊害を正しく解説していますが、それでもスナップフォトという表現文化を継続する為には撮って発表すべきだ、という論法です。この主張は、撮影者は撮った写真に対して全責任を負うべきだ(公開した、では無いところがポイント)、民事訴訟などに発展しても毅然とした態度で臨むべきだという点にまで一貫しています。
横木安良夫の素晴らしいスナップ作品も随所にちりばめられ、写真を生業にしている人間としての意気込み、覚悟を強く感じます。
もちろん私自身はアマチュアの写真愛好家ではありますが、横木氏の考え方に同調する立場です。
- 作者: 森山大道;仲本剛
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/08/17
- メディア: 新書
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こちらはどちらかというと森山大道の作品集に近いですが、彼の撮影方法やスナップショットに対する取り組み方、何故路上スナップを始めたのか、等に対話形式で鋭く迫る良書です。スナップショットと肖像権の問題には具体的には殆ど触れていませんが、撮る事の意義、公開することの意義については強く説いています。
氏のファンには勿論、街角スナップショットを行う全ての人にお勧めできると思います。
- 作者: 荒木経惟
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2001/05/17
- メディア: 新書
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こちらは番外編です。スナップショットというよりは、写真論の本ですね。
彼ほど被写体に対する愛情表現に長けた人は居ないと思います。彼がどの様に被写体と向き合い、どうやってその愛情を表現するのか?を紐解くヒントが沢山詰まっています。
勿論この本を読んだとしても彼のような写真が撮れるわけでは無いのですが、写真に対する理解が深まり引き出しが増えることは間違いないと思います。
また、肖像権に関しては日本写真家協会のこちらのドキュメントが参考になるかと思います。
本館のエントリにも書きましたが、スナップフォトと肖像権の問題は未だに議論の中にあると思っています。
残念ながら現代は様々な事象に対して必要以上に過敏に反応する社会にあります。
我々の様な写真を撮る立場の者が正しく法律を理解し、マナーよく節度を持って写真に取り組み事が、この議論を継続していく上でも肝要だと思っています。