B side of Ichiro S.

Ichiro S's photologのB面

独断と偏見と偏愛だらけのレンジファインダー評

レンジファインダー歴がたかだか6年程度な私ですが、自分が何故レンジファインダーに拘るのか、レンジファインダーに対する脳内イメージを整理する意味で、独断と偏見と偏愛に満ちたレンジファインダー評なるものを書き連ねておきたいと思います。
レンジファインダー機が何なのか分からない方はベタですがWikipediaが参考になると思います。

1.レンジファインダー機の良いところ

1-1.シャッターラグが少ない

レンジファインダー機は構造上一眼レフと比べるとシャッター時のミラーの跳ね上げアクションが無いのでシャッターラグがとても少なくないります。この点だけでも瞬間を切り取るスナップに適していると言えるでしょう。

1-2.シャッターレリーズショックが小さい

1-1にも関連しますが、一眼レフと違いミラーアクションが無い分シャッターレリーズのショックが小さくなります。これにより、暗いところでシャッタースピードを落とさなければならない状況でも手ぶれを最小限に抑える事が出来ます。

1-3.レリーズの瞬間にファインダーから実像が見える

一眼レフと違い、ファインダーは素通しのガラス面になるので、シャッターを切った瞬間の場面をファインダー越しに観ることが出来ます。一眼レフになれている方は気にならないかも知れませんが、私にとっては非常に重要なポイントです。

1-4.システムがコンパクトである

ミラーボックスが不要でボディの小型化が可能です。また、ミラーボックスが無い分、フランジバックよりバックフォーカスの極端に短くしたり、バックフォーカスが長いレンズ設計が可能で、その分レンズの小型化が可能です。可動性を上げるだけでなく、撮影時に被写体に対して威圧感を与えない事にも一役買っています。

1-5.シャッター音が小さい

1-1、1-2に関連しますが、同じくミラーアクションが無いのでシャッター音が小さくなります。これも被写体への配慮に寄与します。

1-6.広角レンズに強い

前述したとおりミラーが無いためバックフォーカスの極端に長いレンズ設計が可能なことにより、柔軟なレンズ設計が可能になります。この為、設計上の制約が発生しがちな広角レンズに非常に強いという特徴があります。特に対称型広角レンズの歪みの少なさは一眼レフでは味わえない特徴の一つです。

1-7.ピント精度が高い

あくまでも理論上の話ですが、測距精度がある程度の範囲であれば焦点距離に左右されないため、ピント精度が高くなります。ただし、基線長には限りがあるため、望遠レンズには向きません。(誤差が大きくなります)

2.レンジファインダーの悪いところ

2-1.構造が複雑

距離計ファインダー、二重像の仕組みにおけるハーフミラーの反射角や寸法、距離計連動部分のマウントの寸法やカム/コロの取り付け位置など工作精度が非常に要求されます。このため、ボディの価格や修理費用が一眼レフと比べて高額になりがちです。

2-2.近接撮影に向かない

設計上、基線長から算出できる最短焦点距離は長くせざるを得ないため、近接撮影が苦手です。一部でこれを克服したタイプのレンズも存在しますが高額且つ大型化してしまいます。

2-3.フォーカスポイントが中央固定である

構造上、焦点を合わせる二重像の位置が中央固定になります。一眼レフのようにマット面を使ったフォーカシングは不可能です。

2-4.オートフォーカス機の選択肢が無い

距離計を使ったマニュアルの測距が基本なのでそもそもAFは存在しません。ちなみにフィルムカメラ全盛時代のコンパクト機が採用したパッシブAF方式=二点の測距窓を用いたAFはこのレンジファインダーの仕組みを応用したものです。パッシブAFを採用したレンズ交換式カメラとしては、Contax Gシリーズが挙げられますがこれをRF機と呼べるかどうかは微妙なところですね・・・

2-5.ズームレンズが着用できない

レンジファインダーは焦点距離に応じてファインダー内のフレームを切り替えるのと、レンズから覗いた実像を観ることが出来ません。従って原則ズームレンズは使用できません。

2-6.ファインダーにより対応する画角が固定されている

2-5にあるとおり、ファインダー/ボディによって対応出来る画角が固定となります。ファインダーが対応したフレームを持たない場合は、ビューファインダーを別で用意する必要があります。ビューファインダーを用いた場合は測距、ピント合わせと構図作りを行うファインダーが別になってしまうので、時間を掛けすぎるとシャッターチャンスを逃してしまうケースがあります。

2-7.パララックス(視野の誤差)により厳密なフレーミングが出来ない

レンズの位置とファインダーの位置の差異により、ファインダー像と写真に記録される像で視野の誤差が発生します。ある程度補正することは可能ですが、ファインダーに実像を映し出せない以上、これを完全に避けることが出来ません。前述のとおりそもそも近接が苦手な上に、これを克服できたレンズを使用してなお近接撮影には向いてないという事になります。

2-8.イメージ

独断と偏見ではありますが、世間一般のレンジファインダーを使っている人のイメージは、カメラにちょっと詳しい人からすると「マニアック、オタク、凝り性」といったあたりを転じて「今時一眼レフを選ばすRFに拘るちょっとキモイ人」で、カメラにあまり詳しくない人に、特に”ライカ”というキーワードを持ち出した場合は「趣味に大金を注ぎ込む道楽人、古いカメラやフィルムカメラに拘る変な人、蘊蓄を語らせたら面倒くさそう」という、やはりあまり良くないイメージがある気がします。勿論実際はそんな事はありませんし、私自身そういった声は一切気にした事はありません。
※既にレンジファインダーをお持ちの方で気分を害したらごめんなさい!あくまでも経験上当方が受けた印象です


(ってあれ?デメリットの方が多いやw)
言うまでもありませんが私にとってレンジファインダーはデメリットを補ってなお余りある魅力のあるカメラです。特にコンパクトさ、スナップのしやすさ、広角レンズの優秀さ、これだけは一眼レフに負けることは無いと信じています。

レンジファインダー=ライカという図式があまりにも強く、≒高額というイメージが染みついてる感もありますが、レンズ固定式の優秀な国産レンジファインダー機、例えばコニカC35、ミノルタハイマチック、ヤシカエレクトロといったカメラは比較的安価に手に入ります。もしこのエントリを読んでレンジファインダーに少しでも興味を持ってくださる物好き素敵な方が居られましたら、前述のようなカメラを一度手にしてみては如何でしょうか?楽しさは保証しますよ。

長文乱文で失礼致しました。最後に、私の拙い批評の口直しとしてレンジファインダーの魅力を伝えるプロの文章と、id:motosixさんのこのエントリをオススメしておきます。